【事例】大阪市都島区・相続人3人、遺産分割でもめている状況
大阪市都島区にお住まいの被相続人様の相続税申告事例です。ご家族構成と状況は次のとおりでした。
・場所: 大阪市都島区
・相続人: 配偶者を含めて3人
・状況: 遺産分割協議で意見が分かれ、少しもめていた
そうした中で、被相続人様の死亡日の5日後に、振込予定日として2か月分の年金が口座に入金されました。金額自体は大きくないものの、これを「相続財産として加算するか」が実務上の論点となりました。
もし相続財産に含めるとすれば、遺産分割協議書にも記載する必要が生じます。ただでさえ協議でもめている状況で、新たに分割対象を増やすと、さらなる揉め事に発展しかねません。一方、誤った処理をすれば後日税務署から指摘を受けるリスクもあります。本件はこの判断を、年金法・所得税法・相続税法の体系に沿って整理しました。
・場所: 大阪市都島区
・相続人: 配偶者を含めて3人
・状況: 遺産分割協議で意見が分かれ、少しもめていた
そうした中で、被相続人様の死亡日の5日後に、振込予定日として2か月分の年金が口座に入金されました。金額自体は大きくないものの、これを「相続財産として加算するか」が実務上の論点となりました。
もし相続財産に含めるとすれば、遺産分割協議書にも記載する必要が生じます。ただでさえ協議でもめている状況で、新たに分割対象を増やすと、さらなる揉め事に発展しかねません。一方、誤った処理をすれば後日税務署から指摘を受けるリスクもあります。本件はこの判断を、年金法・所得税法・相続税法の体系に沿って整理しました。
年金法の整理 ―「支給を受ける権利」はいつ発生するか
公的年金は、その制度上、偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)の15日に、その前月までの2か月分をまとめて支給する仕組みになっています。
・国民年金: 国民年金法第18条第3項
・厚生年金: 厚生年金保険法第36条第3項
ここで重要なのは、「支給を受ける権利」がいつ発生するかという点です。公的年金は、支給期日(偶数月15日)が到来して初めて、その期に対応する年金について受給権者が「支給を受ける権利」を取得します。支給期日が到来していない時点では、被相続人様には当該2か月分の年金を受け取る権利がまだ確定的には発生していない、と整理されます。
本件では、被相続人様は支給期日の前にお亡くなりになり、5日後の支給期日に当該2か月分が振り込まれました。死亡時点では、当該2か月分について「支給を受ける権利」は被相続人様には未確定の状態だったということになります。
・国民年金: 国民年金法第18条第3項
・厚生年金: 厚生年金保険法第36条第3項
ここで重要なのは、「支給を受ける権利」がいつ発生するかという点です。公的年金は、支給期日(偶数月15日)が到来して初めて、その期に対応する年金について受給権者が「支給を受ける権利」を取得します。支給期日が到来していない時点では、被相続人様には当該2か月分の年金を受け取る権利がまだ確定的には発生していない、と整理されます。
本件では、被相続人様は支給期日の前にお亡くなりになり、5日後の支給期日に当該2か月分が振り込まれました。死亡時点では、当該2か月分について「支給を受ける権利」は被相続人様には未確定の状態だったということになります。
相続税法・所得税法の整理 ― 未支給年金は一時所得
では、死亡日後に発生した未支給年金は、誰の所得・財産として課税されるのでしょうか。この点は、相続税と所得税の両面で次のように整理されています。
1. 相続税法上の取扱い
死亡時点で被相続人様に支給を受ける権利が確定していない年金は、相続税法第3条のみなし相続財産にも該当せず、相続税法第24条の定期金に関する権利にも該当しません。よって相続財産には含まれません。なお相続税法施行令第1条の3、相続税法基本通達3-46で取扱いが整理されています。
2. 所得税法上の取扱い
未支給年金は、国民年金法第19条・厚生年金保険法第37条に基づき、遺族の固有の権利として請求できる「未支給の年金」となります。これは遺族が自己の権利として取得するものであり、所得税法第34条の一時所得として課税されます。所得税法第9条の非課税所得には該当しないため、所得税の課税対象になります。具体的な取扱いは所得税基本通達9-2・9-17・34-2で示されています。
3. 二重課税の回避
所得税の一時所得として課税される代わりに、相続税の課税対象からは外れます。これにより未支給年金について同一所得が相続税と所得税の双方で課税されることを避ける構造です(最高裁平成22年7月6日判決等の趣旨にも整合)。
1. 相続税法上の取扱い
死亡時点で被相続人様に支給を受ける権利が確定していない年金は、相続税法第3条のみなし相続財産にも該当せず、相続税法第24条の定期金に関する権利にも該当しません。よって相続財産には含まれません。なお相続税法施行令第1条の3、相続税法基本通達3-46で取扱いが整理されています。
2. 所得税法上の取扱い
未支給年金は、国民年金法第19条・厚生年金保険法第37条に基づき、遺族の固有の権利として請求できる「未支給の年金」となります。これは遺族が自己の権利として取得するものであり、所得税法第34条の一時所得として課税されます。所得税法第9条の非課税所得には該当しないため、所得税の課税対象になります。具体的な取扱いは所得税基本通達9-2・9-17・34-2で示されています。
3. 二重課税の回避
所得税の一時所得として課税される代わりに、相続税の課税対象からは外れます。これにより未支給年金について同一所得が相続税と所得税の双方で課税されることを避ける構造です(最高裁平成22年7月6日判決等の趣旨にも整合)。
本件のあてはめ ― 相続財産から除外、遺族の一時所得
以上の体系を本件にあてはめると、次のように整理できます。
・被相続人様の死亡日: ◯月◯日(支給期日5日前)
・振込日: 死亡日の5日後(偶数月15日の支給期日)
・対象: 2か月分の公的年金
死亡時点では当該2か月分について「支給を受ける権利」が被相続人様に確定していないため、相続税の課税財産には含めません。よって遺産分割協議書にも記載しません。
請求した遺族の方(配偶者または受給に該当する相続人)にとっては、これは一時所得として所得税の課税対象となります。一時所得は次の式で算定されます。
総収入金額 −(必要経費)−(特別控除額50万円)= 一時所得の金額
※課税対象は上記金額の2分の1
未支給年金については一般的に必要経費はゼロまたは僅少で、特別控除50万円の枠内に収まるケースが多く、結果として所得税の追加負担も生じないことが少なくありません。ただし他の一時所得(生命保険の満期金など)と合算する場合は注意が必要です。
・被相続人様の死亡日: ◯月◯日(支給期日5日前)
・振込日: 死亡日の5日後(偶数月15日の支給期日)
・対象: 2か月分の公的年金
死亡時点では当該2か月分について「支給を受ける権利」が被相続人様に確定していないため、相続税の課税財産には含めません。よって遺産分割協議書にも記載しません。
請求した遺族の方(配偶者または受給に該当する相続人)にとっては、これは一時所得として所得税の課税対象となります。一時所得は次の式で算定されます。
総収入金額 −(必要経費)−(特別控除額50万円)= 一時所得の金額
※課税対象は上記金額の2分の1
未支給年金については一般的に必要経費はゼロまたは僅少で、特別控除50万円の枠内に収まるケースが多く、結果として所得税の追加負担も生じないことが少なくありません。ただし他の一時所得(生命保険の満期金など)と合算する場合は注意が必要です。
実務上のメリット ― 遺産分割協議書に記載不要
本件のように遺産分割協議でもめている状況では、未支給年金を「相続財産に含めない」と整理できることは実務上大きなメリットになります。
・遺産分割協議書に記載する必要がない
・分割対象が増えないため、協議の論点が増えない
・受給した遺族の方の固有の所得として処理が完結する
逆に「相続財産として加算しなければならない」と誤って処理すると、遺産分割協議書の文言調整が必要になり、揉め事の長期化につながるおそれがあります。本件では当事務所から、上記の年金法・相続税法・所得税法の体系をご説明し、相続財産には含めない処理で申告書を作成しました。
・遺産分割協議書に記載する必要がない
・分割対象が増えないため、協議の論点が増えない
・受給した遺族の方の固有の所得として処理が完結する
逆に「相続財産として加算しなければならない」と誤って処理すると、遺産分割協議書の文言調整が必要になり、揉め事の長期化につながるおそれがあります。本件では当事務所から、上記の年金法・相続税法・所得税法の体系をご説明し、相続財産には含めない処理で申告書を作成しました。
まとめ ― 確定申告を忘れずに
本記事のポイントを整理します。
・公的年金の「支給を受ける権利」は、支給期日(偶数月15日)の到来をもって発生する(国民年金法第18条第3項・厚生年金保険法第36条第3項)
・死亡日後に支給期日が到来した未支給年金は、相続財産には含めない
・未支給年金は、請求した遺族の固有の権利として、一時所得(所得税法第34条)として課税される
・相続税法施行令第1条の3・相続税法基本通達3-46・所得税基本通達9-2/9-17/34-2で取扱いが整理されている
・遺産分割協議書への記載は不要(揉めている分割協議をシンプルに保てる)
・請求した相続人による確定申告(一時所得)が必要
公的年金の未支給分は、亡くなった月や支給サイクルとの関係で「相続財産に含めるか」の判断が分かれやすい論点です。ご家族間の分割協議への影響も大きいため、相続税申告と同時に正確な処理を行うことが重要です。当事務所では大阪市都島区をはじめ大阪市・堺市・近隣エリアで相続税申告のご相談を承っております。ご不明な点はお気軽にご相談ください。
・公的年金の「支給を受ける権利」は、支給期日(偶数月15日)の到来をもって発生する(国民年金法第18条第3項・厚生年金保険法第36条第3項)
・死亡日後に支給期日が到来した未支給年金は、相続財産には含めない
・未支給年金は、請求した遺族の固有の権利として、一時所得(所得税法第34条)として課税される
・相続税法施行令第1条の3・相続税法基本通達3-46・所得税基本通達9-2/9-17/34-2で取扱いが整理されている
・遺産分割協議書への記載は不要(揉めている分割協議をシンプルに保てる)
・請求した相続人による確定申告(一時所得)が必要
公的年金の未支給分は、亡くなった月や支給サイクルとの関係で「相続財産に含めるか」の判断が分かれやすい論点です。ご家族間の分割協議への影響も大きいため、相続税申告と同時に正確な処理を行うことが重要です。当事務所では大阪市都島区をはじめ大阪市・堺市・近隣エリアで相続税申告のご相談を承っております。ご不明な点はお気軽にご相談ください。
