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COLUMN

相続2026.05.076分で読める

JA建物更生共済の相続税評価|解約返戻金相当額で評価する実務とJAへの照会手順

JA(農協)の建物更生共済は、火災保険でありながら満期共済金・解約返戻金がある「貯蓄性のある共済」です。被相続人が契約していた場合は相続税の課税対象となり、評価額は「相続開始時点の解約返戻金相当額」で算出します。JAへの照会手順、必要書類、生命保険との違いを堺市の税理士法人が解説します。

JA建物更生共済とは|火災保険+積立性のある共済

JA(農業協同組合)が組合員向けに提供する「建物更生共済(むてき・むてきプラス)」は、火災・自然災害などによる建物・家財の損害を補償する共済です。

民間の火災保険と異なる最大の特徴は、満期共済金や解約返戻金が支払われる「貯蓄性」を持つ点です。一定期間(30年・40年など)が経過すると満期共済金が支払われ、途中解約時には解約返戻金が支払われます。

このため、被相続人が契約していた建物更生共済は、相続税法上「経済的価値のある権利」として課税対象に含まれます。

相続税評価額は「相続開始時点の解約返戻金相当額」

建物更生共済の相続税評価額は、財産評価基本通達214(生命保険契約に関する権利の評価)に準じて、相続開始時点における解約返戻金相当額により評価します。

具体的には次の金額の合計です。

① 解約返戻金相当額(相続開始日時点)
② 既払込共済掛金のうち課税時期までに費消されていない部分
③ 剰余金分配金で未受領のもの
④ 前納掛金のうち未経過分

実務上は、JA本所からの「契約内容確認書」または「相続発生時点の解約返戻金証明書」に①〜④の各金額が明記されているため、その金額をそのまま評価額として採用します。

【実例】堺市北区・JAに照会して算出

当事務所が対応した堺市北区の事例では、被相続人がJA建物更生共済を契約しており、相続財産に含めて評価する必要がありました。

契約者・受取人・被共済者の構成を契約証券で確認したうえで、JA本所に「契約者死亡に伴う解約返戻金相当額の照会」を行い、相続開始日時点の解約返戻金額を取得して相続税申告書に計上しました。

本件は 相続税延納申請市街地農地の評価建築中家屋の評価 と組み合わせて手続きを完遂しました(事例紹介)。

JAへの照会手順|必要書類と所要期間

JAへの照会手順は次のとおりです。

① 契約者の通帳・郵便物等から、契約しているJAの支店を特定
② JA支店窓口に「契約者死亡」の旨を連絡し、必要書類を確認
③ 相続人代表が次の書類を準備して提出
 ・被相続人の死亡が記載された戸籍謄本
 ・相続人代表の本人確認書類
 ・相続人全員の同意書(JA様式)
 ・契約証券(紛失していてもJA側で照会可能)
④ JA本所での内容確認後、解約返戻金相当額証明書が発行される
⑤ 所要期間は2〜4週間程度

※ 解約せず権利のまま相続人に名義変更(共済契約承継)することも可能です。承継の場合でも相続税評価は解約返戻金相当額で行います。

生命保険契約に関する権利との違い|非課税枠の有無に注意

建物更生共済と類似する財産として「生命保険契約に関する権利」(生命保険・JA共済の終身共済等)がありますが、相続税の取扱いには重要な違いがあります。

① 死亡保険金(みなし相続財産):500万円×法定相続人数の非課税枠あり
② 生命保険契約に関する権利(被保険者≠被相続人で契約者が被相続人):非課税枠なし、解約返戻金相当額で評価
③ 建物更生共済:非課税枠なし、解約返戻金相当額で評価

つまり、建物更生共済は死亡保険金のような非課税枠の対象外であり、評価額がそのまま課税価格に算入されるため、見落としの影響が大きい財産です。

被相続人が世帯主として複数のJA共済を契約しているケースは多く、相続発生時には漏れなく照会することが重要です。

まとめ:見落とし厳禁、JAへの照会は必ず実施

JA建物更生共済は「火災保険」のイメージが強いため、相続発生時の照会から漏れがちな財産です。

しかし貯蓄性があり、長期契約のものでは数百万円〜の解約返戻金になるケースもあるため、相続税申告では必ずJAへの照会を行い、評価額を確定させる必要があります。

被相続人が農地を所有していた、あるいはJAの組合員であった場合は、ほぼ確実に建物更生共済への加入があります。漏れなく財産を把握するためには、通帳の引き落とし・JAからの郵便物の確認が不可欠です。

当事務所では、堺市・大阪市を中心にJA共済を含む相続税申告を多数取り扱っております。 事例紹介相続税申告のご相談お問い合わせ よりお気軽にご連絡ください。

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