相続税は原則「現金一括納付」|払えない時の3つの選択肢
相続税は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に、原則として現金で一括納付しなければなりません(相続税法第33条)。
しかし、相続財産の大部分が不動産・自社株・農地など換金困難な資産で占められている場合、納税資金が手元になく一括納付できないケースも少なくありません。
このような時の選択肢は次の3つです。
① 延納(分割払い):5〜20年に分けて毎年分納する制度
② 物納:金銭での納付が困難な場合に、不動産等の現物で納付する制度
③ 金融機関からの借入:延納より低利で借りられる場合に有効
このうち実務で最も多く選択されるのが「延納」です。本記事では、申告期限間近で延納を検討せざるを得なくなったケースの実務手順を、堺市の税理士法人として解説します。
しかし、相続財産の大部分が不動産・自社株・農地など換金困難な資産で占められている場合、納税資金が手元になく一括納付できないケースも少なくありません。
このような時の選択肢は次の3つです。
① 延納(分割払い):5〜20年に分けて毎年分納する制度
② 物納:金銭での納付が困難な場合に、不動産等の現物で納付する制度
③ 金融機関からの借入:延納より低利で借りられる場合に有効
このうち実務で最も多く選択されるのが「延納」です。本記事では、申告期限間近で延納を検討せざるを得なくなったケースの実務手順を、堺市の税理士法人として解説します。
延納申請の主な要件|100万円超 or 一括納付困難であること
延納が認められる主な要件は次のとおりです。
① 納付すべき相続税額が10万円を超えていること
② 金銭で納付することを困難とする事由があり、その納付を困難とする金額の範囲内であること
③ 申告期限までに「延納申請書」と「担保提供関係書類」を提出していること
④ 延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること(ただし延納税額が100万円以下、かつ延納期間が3年以下であれば不要)
「金銭納付を困難とする事由」は、納税者本人の現預金・換価可能資産・申告期限後の収入見込みを総合的に勘案して判断されます。具体的な算定は『金銭納付を困難とする理由書』のフォーマットに沿って税務署に提出します。
① 納付すべき相続税額が10万円を超えていること
② 金銭で納付することを困難とする事由があり、その納付を困難とする金額の範囲内であること
③ 申告期限までに「延納申請書」と「担保提供関係書類」を提出していること
④ 延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること(ただし延納税額が100万円以下、かつ延納期間が3年以下であれば不要)
「金銭納付を困難とする事由」は、納税者本人の現預金・換価可能資産・申告期限後の収入見込みを総合的に勘案して判断されます。具体的な算定は『金銭納付を困難とする理由書』のフォーマットに沿って税務署に提出します。
【実例】堺市北区・3億円・一人相続のケース
当事務所が対応した堺市北区の事例では、被相続人の財産が約3億円・相続人がお一人という、納税負担が極めて重いケースでした。
財産には市街地農地・建築中家屋・JA建物更生共済が含まれており、評価が複雑なうえ、ご相談時点で申告期限まで3か月を切っていました。
このケースでは、評価減(市街地農地の宅地造成費用控除等)で納税額を抑えたうえで、不足する納税資金は延納申請で対応しました。
詳細は 事例紹介ページ をご覧ください。
財産には市街地農地・建築中家屋・JA建物更生共済が含まれており、評価が複雑なうえ、ご相談時点で申告期限まで3か月を切っていました。
このケースでは、評価減(市街地農地の宅地造成費用控除等)で納税額を抑えたうえで、不足する納税資金は延納申請で対応しました。
詳細は 事例紹介ページ をご覧ください。
却下時に延滞税を発生させない「事前相談」の重要性
延納申請は提出から審査完了まで通常 1〜3 か月を要します。仮に審査の結果、要件を満たさず却下された場合、申告期限から却下日までの期間について延滞税が発生する可能性があります。
このリスクを避ける実務的な手段が、申請前に税務署(管轄署の徴収部門)へ事前相談に赴くことです。
事前相談で確認すべきポイントは次のとおりです。
① 申請書類の記載内容に不備がないか(特に金銭納付を困難とする理由書)
② 担保提供予定の不動産が抵当権設定可能か(先順位の抵当権・登記事項を要チェック)
③ 延納可能期間の見込み(不動産等の割合に応じて最長20年まで)
④ 万一却下となった場合の対応(再申請のタイミング・延滞税の起算日)
事前相談は徴収担当者との認識合わせの場でもあり、申請後のスムーズな審査につながります。
このリスクを避ける実務的な手段が、申請前に税務署(管轄署の徴収部門)へ事前相談に赴くことです。
事前相談で確認すべきポイントは次のとおりです。
① 申請書類の記載内容に不備がないか(特に金銭納付を困難とする理由書)
② 担保提供予定の不動産が抵当権設定可能か(先順位の抵当権・登記事項を要チェック)
③ 延納可能期間の見込み(不動産等の割合に応じて最長20年まで)
④ 万一却下となった場合の対応(再申請のタイミング・延滞税の起算日)
事前相談は徴収担当者との認識合わせの場でもあり、申請後のスムーズな審査につながります。
担保目録及び担保提供書の作り方|不動産担保が最多
延納の担保には次のものが認められています(相続税法第50条)。
① 国債・地方債
② 社債その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの
③ 土地
④ 建物・立木・登記された船舶等で保険を付したもの
⑤ 鉄道財団・工場財団等
⑥ 税務署長が確実と認める保証人の保証
実務では「土地」「建物」での担保提供が圧倒的に多く、相続で取得した不動産をそのまま担保として差し入れるケースが大半です。
担保提供書には次の書類を添付します。
・登記事項証明書(土地・建物それぞれ最新のもの)
・固定資産税評価証明書
・公図・測量図
・建物の場合は付保証明書
・担保目録(提供する財産を一覧化したもの)
なお、抵当権設定登記は税務署が職権で行うため、相続人側で登記費用を負担する必要はありません。
① 国債・地方債
② 社債その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの
③ 土地
④ 建物・立木・登記された船舶等で保険を付したもの
⑤ 鉄道財団・工場財団等
⑥ 税務署長が確実と認める保証人の保証
実務では「土地」「建物」での担保提供が圧倒的に多く、相続で取得した不動産をそのまま担保として差し入れるケースが大半です。
担保提供書には次の書類を添付します。
・登記事項証明書(土地・建物それぞれ最新のもの)
・固定資産税評価証明書
・公図・測量図
・建物の場合は付保証明書
・担保目録(提供する財産を一覧化したもの)
なお、抵当権設定登記は税務署が職権で行うため、相続人側で登記費用を負担する必要はありません。
延納の利子税|区分により年0.4〜1.2%程度(令和7年特例基準割合)
延納期間中は本税のほかに利子税が課されます。利率は相続財産に占める不動産等の割合と延納期間で区分されており、令和7年中の特例基準割合(0.4%)を適用すると、おおむね年0.4%〜1.2%程度の負担となります。
不動産等の割合が高いほど低利で長期間の分納が認められる仕組みになっており、現金資産が少なく不動産が多い相続ほど延納は有利な選択肢です。
利子税の計算は毎年の分納時に行うため、各年の利率変動を踏まえた長期キャッシュフロー計画も併せて立てておくと安心です。
不動産等の割合が高いほど低利で長期間の分納が認められる仕組みになっており、現金資産が少なく不動産が多い相続ほど延納は有利な選択肢です。
利子税の計算は毎年の分納時に行うため、各年の利率変動を踏まえた長期キャッシュフロー計画も併せて立てておくと安心です。
