清算型遺贈とは:「不動産をそのまま渡せない」とき選ばれる手法
「遺言で社会福祉法人に寄付をしたいが、不動産をそのまま渡しても法人側が困ってしまうかもしれない」というご相談は少なくありません。
この場合によく選ばれるのが、遺言執行者が不動産を売却し、その換価代金を社会福祉法人に寄付する「清算型遺贈」という手法です。
ただし、この手法には相続税・法人税・所得税という 3 つの税目が複雑に絡み合います。本記事では、社会福祉法人への清算型遺贈における課税のポイントと、失敗しないための注意点を堺市の税理士法人として実務目線でまとめました。
この場合によく選ばれるのが、遺言執行者が不動産を売却し、その換価代金を社会福祉法人に寄付する「清算型遺贈」という手法です。
ただし、この手法には相続税・法人税・所得税という 3 つの税目が複雑に絡み合います。本記事では、社会福祉法人への清算型遺贈における課税のポイントと、失敗しないための注意点を堺市の税理士法人として実務目線でまとめました。
社会福祉法人への遺贈と「相続税」
原則として、社会福祉法人に遺贈(遺言による寄付)した財産には相続税はかかりません。
理由は、社会福祉法人が「持分の定めのない法人」であり、公益性が高い法人とされているためです。
また、社会福祉法人へ遺贈した分は相続財産から差し引かれるため、結果として他の相続人が支払う相続税の総額を抑える効果もあります。
ただし、不当に相続税の負担を回避する目的と認められた場合などには課税対象となりうるため、事前のスキーム設計が重要です。
理由は、社会福祉法人が「持分の定めのない法人」であり、公益性が高い法人とされているためです。
また、社会福祉法人へ遺贈した分は相続財産から差し引かれるため、結果として他の相続人が支払う相続税の総額を抑える効果もあります。
ただし、不当に相続税の負担を回避する目的と認められた場合などには課税対象となりうるため、事前のスキーム設計が重要です。
社会福祉法人の「法人税」
受遺者である社会福祉法人側にも、原則として法人税の負担は生じません。
受贈益の非課税:寄付を受けたことによる利益は、社会福祉法人の本来事業(非収益事業)として扱われるため非課税です。
売却損益:清算型遺贈によって不動産を売却した代金を受け取る場合も、それが収益事業(法人税法上の 34 業種)に該当しなければ課税対象とはなりません。
ただし、不動産の取得目的・利用方法・売却時期によっては収益事業に該当する余地があり、判断には専門家の検討が不可欠です。
受贈益の非課税:寄付を受けたことによる利益は、社会福祉法人の本来事業(非収益事業)として扱われるため非課税です。
売却損益:清算型遺贈によって不動産を売却した代金を受け取る場合も、それが収益事業(法人税法上の 34 業種)に該当しなければ課税対象とはなりません。
ただし、不動産の取得目的・利用方法・売却時期によっては収益事業に該当する余地があり、判断には専門家の検討が不可欠です。
最も注意すべき「所得税(みなし譲渡所得)」
清算型遺贈で最も見落としやすいのが、遺言者(亡くなった方)にかかる所得税です。
含み益のある不動産を法人に遺贈すると、税務上は「亡くなった時の時価で法人に売却した」とみなされ、遺言者に譲渡所得税が課されます(みなし譲渡所得税)。
この税金は、相続人が「準確定申告」を行って納税しなければなりません。準確定申告は相続開始を知った日の翌日から 4 か月以内という短い期限なので、清算型遺贈を含む遺言では準備期間の確保が極めて重要です。
【重要】租税特別措置法第40条の活用
相手が社会福祉法人の場合、一定の要件を満たして国税庁長官の承認を受けることで、このみなし譲渡所得税を非課税にできる特例(租税特別措置法第40条)があります。
ただし、清算型遺贈のスキーム(売却の手順や現金の流れ)によっては適用が難しくなるケースがあるため、事前の設計が不可欠です。
特に「売却→換価金寄付」という流れでは、寄付財産が「不動産そのもの」なのか「換価された現金」なのかで取扱いが変わるため、遺言の文言や執行手続きまで含めた精緻な設計が求められます。
含み益のある不動産を法人に遺贈すると、税務上は「亡くなった時の時価で法人に売却した」とみなされ、遺言者に譲渡所得税が課されます(みなし譲渡所得税)。
この税金は、相続人が「準確定申告」を行って納税しなければなりません。準確定申告は相続開始を知った日の翌日から 4 か月以内という短い期限なので、清算型遺贈を含む遺言では準備期間の確保が極めて重要です。
【重要】租税特別措置法第40条の活用
相手が社会福祉法人の場合、一定の要件を満たして国税庁長官の承認を受けることで、このみなし譲渡所得税を非課税にできる特例(租税特別措置法第40条)があります。
ただし、清算型遺贈のスキーム(売却の手順や現金の流れ)によっては適用が難しくなるケースがあるため、事前の設計が不可欠です。
特に「売却→換価金寄付」という流れでは、寄付財産が「不動産そのもの」なのか「換価された現金」なのかで取扱いが変わるため、遺言の文言や執行手続きまで含めた精緻な設計が求められます。
相続人にかかる譲渡所得税
清算型遺贈において、不動産を売却した代金が相続人にも分配される場合、相続人に対してもその持分に応じて譲渡所得税が課税されます。
譲渡所得の計算では、亡くなった方が不動産を取得したときの取得費を相続人が引き継ぎます。長く保有していた不動産であるほど、当時の購入価格と現在の売却価格との差額が大きくなり、譲渡所得税の負担も大きくなる傾向があります。
不動産の財産評価 と組み合わせて、清算型遺贈における全体の手取り額を事前にシミュレーションするのが当事務所の方針です。
譲渡所得の計算では、亡くなった方が不動産を取得したときの取得費を相続人が引き継ぎます。長く保有していた不動産であるほど、当時の購入価格と現在の売却価格との差額が大きくなり、譲渡所得税の負担も大きくなる傾向があります。
不動産の財産評価 と組み合わせて、清算型遺贈における全体の手取り額を事前にシミュレーションするのが当事務所の方針です。
まとめ:複雑な遺贈スキームは税理士にご相談を
社会福祉法人への清算型遺贈は、社会貢献としての意義が非常に大きい一方で、以下の理由から専門的な知識が求められます。
- 三つの税目(相続・法人・所得)を横断した判断が必要
- 非課税特例(措置法 40 条)の適用判断がシビア
- 遺言執行者の選任や売却実務の調整が必要
せっかくの善意が税金の負担で損なわれないよう、社会福祉法人への寄付を検討される際は、必ず経験豊富な税理士へ事前にご相談ください。
当事務所では、堺市・大阪市・松原市・高石市など近隣エリアの社会福祉法人への遺贈寄付や、複雑な清算型遺贈のシミュレーション、準確定申告のサポートを行っております。
相続のご相談 や お問い合わせ よりお気軽にどうぞ。
- 三つの税目(相続・法人・所得)を横断した判断が必要
- 非課税特例(措置法 40 条)の適用判断がシビア
- 遺言執行者の選任や売却実務の調整が必要
せっかくの善意が税金の負担で損なわれないよう、社会福祉法人への寄付を検討される際は、必ず経験豊富な税理士へ事前にご相談ください。
当事務所では、堺市・大阪市・松原市・高石市など近隣エリアの社会福祉法人への遺贈寄付や、複雑な清算型遺贈のシミュレーション、準確定申告のサポートを行っております。
相続のご相談 や お問い合わせ よりお気軽にどうぞ。
用語解説
清算型遺贈:遺言執行者が遺言者の財産(主に不動産)を売却して換価し、その代金を相続人や受遺者に分配する遺贈方法。受遺者が現物の管理・処分を担えない場合に選ばれる。
社会福祉法人:社会福祉法に基づき、社会福祉事業を行うことを目的に設立された公益性の高い法人。持分の定めがなく、剰余金や残余財産を構成員に分配しない仕組み。
みなし譲渡所得:個人が法人に対して資産を無償または著しく低い対価で譲渡した場合に、時価で売却したものとみなして譲渡所得を計算する課税上の取扱い(所得税法第59条)。
準確定申告:被相続人が亡くなった年分について、その相続人が代わりに行う所得税の確定申告。相続開始を知った日の翌日から 4 か月以内に申告・納税する必要がある。
租税特別措置法第40条:個人が公益法人等(社会福祉法人を含む)に資産を寄付した場合、一定の要件を満たして国税庁長官の承認を受ければ、みなし譲渡所得税を非課税とする特例。
社会福祉法人:社会福祉法に基づき、社会福祉事業を行うことを目的に設立された公益性の高い法人。持分の定めがなく、剰余金や残余財産を構成員に分配しない仕組み。
みなし譲渡所得:個人が法人に対して資産を無償または著しく低い対価で譲渡した場合に、時価で売却したものとみなして譲渡所得を計算する課税上の取扱い(所得税法第59条)。
準確定申告:被相続人が亡くなった年分について、その相続人が代わりに行う所得税の確定申告。相続開始を知った日の翌日から 4 か月以内に申告・納税する必要がある。
租税特別措置法第40条:個人が公益法人等(社会福祉法人を含む)に資産を寄付した場合、一定の要件を満たして国税庁長官の承認を受ければ、みなし譲渡所得税を非課税とする特例。
