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COLUMN

不動産公開7分で読める代表税理士 榎嶋 隆司

離婚の財産分与でマンションを渡すと税金がかかる?|みなし譲渡課税と、確定申告で見落としがちなふるさと納税の注意点

離婚に伴う財産分与で不動産を渡した側に譲渡所得税が生じる「みなし譲渡課税」の考え方を、実際のご相談事例をもとに解説します。給与所得者でも確定申告が必要になり、ふるさと納税のワンストップ特例が使えなくなる(寄付金受領証明書での申告が必要になる)といった見落としがちな注意点まで、大阪・堺の税理士法人が分かりやすくまとめます。

結論

離婚に伴う財産分与で自宅マンションなどの不動産を渡した場合、売買していないのに「渡した側」に譲渡所得税が生じることがあります。分与時の時価で譲渡があったものとして課税される、いわゆる「みなし譲渡課税」の考え方です(受け取った側には受領時の課税は生じません)。給与所得者でもこの申告が必要となり、その年は確定申告をすることに。すると、ふるさと納税の「ワンストップ特例」が使えなくなり、寄付金受領証明書を添えて確定申告で寄付金控除を申告し直さないと住民税の控除が受けられない、という見落としも生じます。財産分与は現金か現物かで税負担が変わるため、実行前のご相談が重要です。

【実例】財産分与で自宅マンションを「渡した側」から確定申告のご依頼

離婚に伴う財産分与により、お住まいのマンションを取得された方のご相談に対応した際のことです。後日、そのマンションを財産分与で「渡した側」である元配偶者の方がお越しくださり、翌年の確定申告のご依頼をお受けしました。

少し意外に思われるかもしれませんが、今回のケースでは、マンションを取得した(受け取った)方には課税関係が生じない一方、財産分与でマンションを渡した方に課税関係が生じます。売買をしたわけではないのに、です。これが、いわゆる「みなし譲渡課税」の考え方です。

財産分与で不動産を渡すと、渡した側に譲渡所得税がかかる

離婚に伴う財産分与では、当事者間でお金のやり取り(売買)をしているわけではありません。それにもかかわらず、不動産などの資産を「渡した側」には、譲渡所得税が生じることがあります。

これは、財産分与の義務を果たすために資産を引き渡すことが、税務上、その資産をそのときの時価で譲渡したのと同じように扱われるためです。分与時の時価と、その不動産の取得費・取得時期をもとに譲渡所得を計算します。

一方で、財産分与により不動産を「受け取った側」には、受け取った時点での課税は生じません(将来その不動産を売却する際は、財産分与時の時価が取得費の基礎になります)。

なぜ「渡した側」に課税されるのか ― 現金分与との公平(キャピタルゲインの実現)

なぜ渡した側に課税されるのか。現金で分与する場合と比べると分かりやすくなります。

仮に、不動産を売却して得た現金を分与する場合、その売却時に値上がり益(キャピタルゲイン)があれば、譲渡所得が発生します。

一方、不動産を現物のまま分与する場合、「売買していないのだから利益も出ていない」と考えると、値上がり益があっても譲渡所得が発生しないことになってしまいます。

これでは、現金で分けるか現物で分けるかによって税負担が大きく変わり、不公平が生じます。そこで、現物で分与する場合も、分与時にキャピタルゲインが実現したものとして課税し、この不整合を解消する仕組みになっているのです。

給与所得者(サラリーマン)でも確定申告が必要に

今回のお客様は給与所得者(サラリーマン)の方でした。ふだんは勤務先の年末調整で納税が完結し、確定申告は不要という方も多いですが、財産分与による譲渡所得が生じたことで、その年は源泉徴収票とあわせて確定申告を行う必要があります。

そして、いざ確定申告をするとなると、ふだん確定申告をしない方ほど見落としやすい注意点が出てきます。

見落とし注意:ふるさと納税の「ワンストップ特例」が使えなくなる

その代表格が、ふるさと納税です。

ふるさと納税には、確定申告をしなくても寄付金控除が受けられる「ワンストップ特例制度」があります。しかし、財産分与の譲渡所得などで確定申告をすることになった方は、このワンストップ特例が使えなくなります。

ワンストップ特例の申請をしていても、確定申告をするとその申請は無効になります。そのため、寄付金受領証明書を添えて、確定申告のなかで改めて寄付金控除(ふるさと納税)を申告し直す必要があります。これを忘れると、本来受けられるはずの住民税の控除が受けられなくなってしまいます。

今回のお客様にもこの点をご説明したところ、「分かりやすい説明でありがとうございました」とおっしゃっていただけました。

まとめ ― 財産分与は「実行する前」に税理士へ

離婚に伴う財産分与は、「現金で分けるか、現物(不動産など)で分けるか」によって税負担が変わり、渡す側・受け取る側それぞれに注意点があります。

・不動産を渡す側には、分与時の時価をもとに譲渡所得税が生じることがある(みなし譲渡課税)
・その年は確定申告が必要になり、ふるさと納税のワンストップ特例が使えなくなる

こうした点は、財産分与を実行してからでは取り返しがつかないこともあります。分与の内容を決める前の段階で税理士にご相談いただくことで、居住用財産の特例など使える制度も含め、税負担を見据えた最適な進め方をご提案できます。

※ 実際の課税関係は、財産の内容やご事情により異なります。個別の判断はお問い合わせより、当事務所へお気軽にご相談ください。実際のご相談事例は事例紹介でもご覧いただけます。

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