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COLUMN

相続公開9分で読める代表税理士 榎嶋 隆司

コンビニに貸している土地の相続税評価|借地権か賃借権か、駐車場敷地(雑種地)の評価を実例で解説

コンビニ運営事業者に通常の賃貸借契約で貸している土地の相続税評価を、実際のご相談事例をもとに解説します。店舗建物が別の所有者の土地にあり、評価対象地が更地の駐車場というケースで、借地権(貸宅地)評価と賃借権評価の分かれ目、雑種地の現況判断、財産評価基本通達87による賃借権の控除、小規模宅地等の特例まで、大阪・堺の税理士法人が整理します。

結論

コンビニ運営事業者に貸している土地でも、その一画が「建物のない駐車場(更地)」で、店舗建物は別の所有者の土地に建っている——といったケースでは、相続税評価が「借地権(貸宅地)評価」ではなく「賃借権評価」になるのが自然な帰結です。分かれ目は、評価対象地の契約が「建物所有目的」といえるかどうか。建物のない駐車場部分だけの契約では建物所有目的とは言いにくく、地目も現況主義で「雑種地」と判断します。賃借権の控除額は財産評価基本通達により、権利金や堅固な構築物の有無で「地上権に準ずる賃借権」か否かが分かれ、評価額に大きな差が出ます。契約書の目的条項・登記・保証金などの確認が要となります。

【ご相談】コンビニに貸している土地、相続税評価はどうする?

相続税の申告にあたり、コンビニエンスストアに貸している土地の財産評価について、次のような前提でどう評価すべきかというご相談をお受けしました。

・コンビニ運営事業者に、定期借地権ではない「通常の賃貸借契約」で土地を貸している
・貸している土地は更地
・その店舗が一団の土地として利用している敷地は、土地の所有者が複数人いる
・評価する土地は、その一団の土地の一部で、建物はなく、コンビニの駐車場として利用されている

ポイントは、「評価対象地には建物がなく(駐車場)、店舗建物は別の所有者の土地の上に建っている」という点です。

まず結論 ― 本件は「賃借権評価」になるのが自然。ただし契約書次第で余地も

本件は、土地の所有者が複数で、店舗建物は他人の土地の上にあり、評価対象地には建物がありません。

土地所有者ごとに賃貸借契約は別個であり、評価単位も所有者ごとに分かれます。そのため、評価対象地(駐車場部分)に係る契約だけを見ると「建物所有を目的とした契約」とは言いにくく、借地権(貸宅地)評価ではなく賃借権評価になるのが自然な帰結です。

ただし、店舗敷地と駐車場敷地の両方に「建物所有を目的とした賃借権」を設定し、地代も一体で単価を同一にしているような事例もあります。契約書に「建物所有目的」「借地権を設定する」旨の明記があれば、貸宅地評価を主張する余地は残ります。契約書の目的条項が最重要です。

① 借地権(貸宅地)評価か、賃借権評価か ― 分かれ目は「建物所有目的」

借地権は、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権をいいます(借地借家法)。つまり、その土地の貸し借りが「建物を建てて所有するため」でなければ、借地権は生じません。

本件の評価対象地は、建物のない駐車場です。その部分だけの契約が「建物所有目的」とは言いにくいため、借地権(貸主側では貸宅地)ではなく、賃借権として評価するのが原則的な考え方になります。

一方で、契約書上、店舗敷地と駐車場敷地を一体として「建物所有目的の借地権」を設定していると読める場合は、扱いが変わり得ます。だからこそ、契約書の目的条項・契約の全体像の確認が欠かせません。

② 地目は「雑種地」 ― 現況主義で判断する

土地の地目は、課税時期(相続開始時)の現況で判断します。建物がなく駐車場として使われていれば、地目は「雑種地」です。

固定資産税評価上の地目が「宅地」であっても、財産評価基本通達上の地目は現況によります。

なお、雑種地の自用地としての価額は、近傍の宅地に比準して計算します(路線価地域であれば路線価をベースに算定)。そのため、自用地価額そのものは宅地とほぼ同じ水準になります。差が出るのは、次に述べる「賃借権の控除」の部分です。

③ 賃借権の控除額 ― 財産評価基本通達による2つの区分

貸し付けられている雑種地は、自用地価額から「賃借権の価額」を控除して評価します。この賃借権の控除額は、賃借権の性質によって次の2つに分かれます。

・「地上権に準ずる賃借権」に該当する場合
 (賃借権の登記がある、権利金や一時金の授受がある、または容易に撤去できない堅固な構築物の所有を目的とするもの など)
 → 残存期間に応じた法定地上権割合と、借地権割合の、いずれか低い方を控除

・それ以外の賃借権の場合
 → 法定地上権割合 × 1/2 を控除

コンビニ運営事業者との長期契約で、アスファルト舗装や看板等の構築物が事業者側で設置され、保証金等の授受があるようなケースでは、「地上権に準ずる賃借権」に寄りやすくなります。

残存期間は契約書の期間で判定します。更新後の期間や「期間の定めがない」場合の扱いは実務上も争いがあるため、契約の更新条項もあわせて確認が必要です。

④ その他の留意点 ― 権利金・相当の地代・小規模宅地等の特例

・権利金の授受の有無、地代の水準(相当の地代かどうか)によっても結論は動きます。
・貸付事業用宅地等の小規模宅地等の特例(減額50%・限度面積200㎡)は、雑種地であっても構築物の敷地であれば対象になり得ます(構築物が借主設置であっても対象となる余地があります)。
・借地権評価か賃借権評価かで評価額の差が大きいため、本件では契約書・登記・保証金などの資料をもとに慎重に検討しました。

まとめ ― 「契約書・登記・保証金」の確認が評価額を左右する

コンビニなどの事業者に貸している土地でも、評価対象地の状況(建物の有無、契約の目的、所有者の構成)によって、借地権(貸宅地)評価か賃借権評価かが分かれ、評価額に大きな差が生じます。

・評価対象地が「建物のない駐車場」で、店舗建物が別の土地にある場合は、賃借権評価になるのが自然
・地目は現況主義で「雑種地」
・賃借権の控除額は、権利金・登記・堅固な構築物の有無で「地上権に準ずる賃借権」かどうかが分かれる

判断のカギは、契約書の目的条項・登記の有無・権利金や保証金の授受といった具体的な資料です。

※ 実際の評価は、契約内容や現況、資料により結論が変わります。個別の判断はお問い合わせより、当事務所へお気軽にご相談ください。実際のご相談事例は事例紹介でもご覧いただけます。

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