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税制改正

令和8年度 税制改正の実務インパクト

駆け込みの事業承継、新しい贈与ルール、マンション評価、電子帳簿保存、賃上げ税制 ― 令和8年度の実務インパクトを5つの視点で整理します。

令和8年度(2026年度)の税制改正は、数年前から段階的に進められてきた「資産移転の適正化」と「デジタル・グリーン投資の本格化」が完成形を迎える年です。実務に直結するインパクトを、5つの視点で整理します。

1. 「特例承継計画」提出期限の到来(2026年3月31日)

これが最大の実務インパクトです。法人版事業承継税制の特例措置を受けるための「計画提出」が、この年度末でいよいよ締め切られます。

  • 実務上の盲点 ― 期限直前に駆け込みが増えると、認定支援機関(税理士・商工会議所等)の対応が間に合わないリスクがあります。
  • 判断の分かれ目 ― 「猶予額の大きさ」だけでなく、将来の「M&Aの可能性」や「廃業リスク」を考慮し、あえて特例を使わず、後述する相続時精算課税で対応する戦略との比較が必須となります。

2. 相続時精算課税「累計110万円控除」の本格運用期

2024年の改正から2年が経ち、実務データが蓄積される時期です。

  • 実務インパクト ― これまでの「暦年贈与(年110万円)」は相続前7年間の持ち戻しがありますが、精算課税の110万円枠は「持ち戻し不要」です。
  • 戦略的転換 ― 令和8年度からは、自社株の配当や少額の現金を、この「無税かつ持ち戻しなし」の枠で孫世代へ確実に移転し続ける「自動贈与スキーム」の定着が求められます。

3. マンション評価「時価6割」基準による二次相続対策

2024年導入のマンション評価適正化ルールが、実務上の「相続税申告」や「遺産分割」に具体的な数字として重くのしかかる年となります。

  • 実務インパクト ― 以前の評価額を前提に組んでいた「納税資金計画」が破綻する可能性があります。
  • 対策 ― 評価が上がった不動産を持ち続けるのではなく、「評価額と時価の差が小さくなった今、あえて売却して現金化し、他の事業投資に回す」といった、出口戦略の再構築が必要です。

4. 電子帳簿保存法「完全義務化」後の税務調査対応

猶予期間が完全に終了し、令和8年度の税務調査からは「電子保存の不備」が厳しく指摘されるフェーズに入ります。

  • 実務リスク ― 単に保存しているだけでなく、「検索要件の確保」や「改ざん防止の運用」ができていない場合、青色申告の承認取り消しや、重加算税の対象となるリスクが現実味を帯びてきます。
  • DX投資 ― 補助金(デジタル・AI導入補助金等)を活用し、税務コンプライアンスを自動化するシステムへの切り替えが急務となります。

5. 賃上げ・投資促進税制の「結果」への厳格化

「賃上げ促進税制」などがより複雑化し、単なる給与増だけでなく「教育訓練費の支出」や「子育て支援」の実績がセットで問われるようになります。

  • 実務インパクト ― 決算直前に「給料を上げて節税」という安易な手法が通用しにくくなり、年度当初からの計画的な人事・投資戦略が税負担に直結します。

総括

令和8年度は「駆け込みの事業承継」と「新しい贈与ルールへの完全移行」が重なる、非常に手数の多い年です。